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☆『小倉百人一首』・その101

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☆『小倉百人一首』・その101

 

 94番目は、参議雅経(さんぎまさつね)さんです。

 

 これも「本歌取り」の歌です。「み吉野の 山の白雪 積もるらし 古里寒く な

 

りまさるなり」というのが本歌で、これを踏まえて巧みに詠んでいるようです。で

 

も、そんな技巧を云々するよりも、これはこれにて、これそのままに味わいうる深い

 

趣が含まれていますね。

 

 「衣うつ」は木綿の衣を木の板で打ってやわらかくすることです。昔の生地は植物

 

の筋を大した加工もなく紡いでいるのですから、それはそれは硬くてゴワゴワしてい

 

たのでしょう。

 

 み吉野の

 

 山の秋風

 

 小夜ふけて

 

 ふるさと寒く

 

 衣うつなり

 

 解説です。

 

 「えにしえの、吉野の山の秋風が、吹きくる夜更けは、里もや寒し」と、衣打つ

 

音、タントンと、闇を増す野に村里に、心に響き沁み来るよ、秋は深まり、霜雪間

 

近。いのしし追って山行った、お父はいまだ返り来ぬ、さみしく不安で兄(あに)さ

 

んも、戸口出で見る夜半の月、そのうちウトウト囲炉裏端、お母が優しく夜具かけ

 

て、心配するなとささやいた。あたい九つ里の秋。

 

 順番とイメージです。

 

 ”94=急よ、勝った〔雅経〕 み吉野の…衣うつなり”衣打つ、木の槌、砧(き

 

ぬた)よ、槌音は、トント淡々タントトと、かなたの家より聞こえ来る、夜冷えをつ

 

れて流れ来る。寝そびれ聞き入るあなたは雅なキツネかな。

 

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