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☆『小倉百人一首』・その93

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☆『小倉百人一首』・その93

 

 86番目は、かの有名な西行法師(さいぎょうほうし)さんの歌ですね。

 

 元の名を佐藤義清(のりきよ)といいました。が、何を思ったか妻子持ちの身であ

 

りながら23歳で出家して後は自然と旅を愛した人物としてつとに知られた西行さん

 

の歌ですから、なにやら意味深な内容のように私には思えるのです。「月前恋」とい

 

う題での「歌合」で詠んだものだそうですが、その対象は現実的な女性ではなく、世

 

の人々全体が背負う生きにくさを哀れみ憂えていたのではないかと思うのですね。

 

〔いいえ、そうではないかも知れません。この頃までには修行も大いに進んだ西行さ

 

んのことですから、そんな生々しさなんぞは遠に超越していて、むしろ洒脱な気分で

 

詠んでいるようにも感じるのです〕

 

 「月やは…する」は、「月が…する?いや、そうではないよ」ということです。ま

 

た、「かこち=託ち」です、「…のせいにする」ということですね。

 

 嘆けとて

 

 月やはものを

 

 思はする

 

 かこち顔なる

 

 わが涙かな

 

 解説です。

 

 「嘆きなさい、悲しみなさい、とて天なる月が私に深い物思いをさせているわけで

 

はないのにさ、それなのにさ、月にかこつけては涙あふれる私の恋よ」憂き世に悩む

 

哀れな者よ、人々よ、いと惜しいのだ、あー愛おしや。

 

 順番とイメージです。

 

 ”86=止む、さ西行 嘆けとて…涙かな”涙なら、悲しいゆえに出るものよ、こ

 

の世の憂さを悲しがる、人の悩みよ悲しけれ、四苦じゃ少しよ足らぬよと、八苦も出

 

でくる人の世は、因果めぐりの苦界よと、法師西行説きかける、すべては前世の所行

 

ゆえ、今世で正せと懇(ねんご)ろに、説くお姿が神々し……。ありがたい法師姿の

 

西行、あなた。

 

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