24 May 2010
☆『小倉百人一首』・その19
12番目です。僧正遍照の作ですが、この若やいだ歌は、この人が出家する以前に
詠んだものですから、そのところ誤解のないように願います。これは宮中の儀式で舞
う少女たちのたおやかな美しさを天女の姿と見立てて詠ったのでした。ちなみに、僧
正という地位は結構、高いのです。もっとも、神聖であるべき仏僧の世界に世俗と同
じな地位の上下があるのは珍妙なことではあるのですが。
天(あま)つ風
雲のかよい路
吹きとぢよ
をとめの姿
しばしとどめぬ
解説です。
「天空を駆けぬける風さんよ、雲間にあろう通い路を吹き閉ざしておくれな。踊り
が終われば天宮へと帰ってしまう愛おしい舞姫たちの美しい姿を、いましばらく留め
ておきたいのだからね」、といったところです。みやびな雰囲気がよく出てますね。
イメージ図は、ヒチリキで奏上している雅楽の坊さんがフット空を見上げた光景に
しましょうか。舞姫は12人ですよ、列は7人と5人とに分けるのです。変則に分割
したほうが頭に残りやすいのです。