5 Feb 2010
☆『「般若心経」を暗記しましょう・その54』
読者の皆さん、どうでしょうか。論考がここに至って、「空」なるものを感得でき
たのではないでしょうか。
そうです、私たちの存在が「空」であることが実感できたはずです。私たち人間の
本質は「空」なのだとする「般若心経」の意図を明確に理解できたはずですよ。更に
は、その「本質」さえもが「無」であり「空」なのだとする主張へも肯定の思いが心
に湧き上がってまいりましょう。
そうして、このように分かってみて改めて、私たち生身が感じる「喜怒哀楽」への
価値を見据えるようになるのですね。では、「この喜びや哀しみを、どのように解釈
したなら良いのか」、をですね。
これらの感情を「無であり、空なのだ」と理解できたところで、しかし「痛い、痒
い、面白い」などと感得できる思いは確実にあるのです。これは生きているからこそ
感じ得る能力なのですね。生命を持つゆえの賜物なのですよ。
そうなのです、「喜怒哀楽」は私たちが有している能力なのです。神や仏が「生き
ている、という感覚を楽しみなさいな、味わいなさい」として備えてくださった機能
なのですよ。
こんな思いに至ったこの時点で、”般若心経の後期境地”の設定をしましょう。