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『「記憶の真髄」への考察・その33』

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『「記憶の真髄」への考察・その33』

 

 さて、早速にも始めましょう、一気に記憶能力の向上が期待できる方法の伝授を、

 

ですよ。

 

 先ずは、目にするものを憶えるにはどうしたら良いか、という観点から進めてみま

 

しょう。

 

 一般的にですが、これまでは皆さんが「見ることのみ」から踏み出すことをナカナ

 

カ為さらなかったようですね。だから、“表面眺め”で終わってしまうのだろうと推

 

察できますよ。

 

 そうして、それでは印象が弱いので記憶しないものですから「私は記憶力がない、

 

諦めよう」となってしまいがちになるのでしょう。

 

 ですので、これからは「ただ、見る」という姿勢から「こう見てみよう」へと、そ

 

うしてまた「こう見えるようにしてみよう」へと変更を試みて欲しいのです。

 

 え?「わざわざ何かを付け加えるなんて面倒だね」と、異を唱えましょうか。

 

 でもですね、このことにつき「風景の写生」を例にして解説してみれば分かってい

 

ただけましょう。一見は付け加えるように見えても実際には省いているのだというこ

 

とがハッキリと理解できますゆえ。

 

 さて、写生の仕方には、三通りの進め方がありますね。

 

 単にひたすら何度も何度も見ては筆をチョッと動かし、動かしてはまた対称物を振

 

り返り見、する人が先ずいます。

 

 次いで、木が幾本たっているか、草の群がり具合がどうなっているか、家の玄関は

 

どの方角を向いていると確認をする人がおります。

 

 最後に、「見返し、繰り返し」を止めてしまって随分とぞんざいに描き始める人も

 

出てきましょう。一見した時に得た感じだけを頼りに筆を運んだのですね。

 

 さて、皆さん。この中で誰が最も対象物を把握したのでしょう。

 

 一番、最初の人ではありませんよ、見るのを繰り返しただけですから記憶量は随分

 

と少なくなります。

 

 では、二番目の人でしょうか、調べて確認して、と丁寧に対処していますから。で

 

すが、その場合はキャンバスに描きこんだ途端に無用な知識となって程もなく消えて

 

しまうような濃度の薄い記憶です。

 

 さて、最後の人の場合は「あの木はこっち側にあった方が良いな。この家はないこ

 

とにしよう。雑草の間に小道が有ってもいいじゃないか」として、実際の場景との対

 

比が為される分、記憶も鮮明になって後々まで残りやすいものです。

 

 つまり、これが「印象画」ということになりましょう。

 

 「写生画」と「印象画」とでは完成度が同じなら、断然、後者の方が高く評価され

 

ます。独自性がありますからね、「印象画」の方にはですね。

 

 印象というものは対象物の側から出るものではありません、勿論。見る側の心象が

 

大きく干渉します。それを前提に干渉を続けるなら、次には独創性が発生してきまし

 

ょう、対象物の見え方がドンドンと変容してくるからですね。

 

 独自性はこれまでのものの改変ですが、独創とは文字どおり新規のものの創出です

 


 さて、僕等の申したいことはここでの「干渉」です。自己の発揮なのです。

 

 「自己」の積極的発動こそが能動性の本丸なのですよ。つまり、原口老人の口癖で

 

ある『随所に主たれ』そのものなのでした。

 

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